経過報告

先日、松江市長宛に『熊野大社前の太陽光発電所の事業見直し』を求める要望書を提出しました。
・熊野大社崇敬会
・熊野大社の神域を守る会
・八雲護会
の三者から、事業見直しと併せて『再エネ条例に関する要望』もお伝えしました。
みなさんご存知のとおり、太陽光発電所建設については、全国で建設前の説明が不十分で地域住民とトラブルが起こったり、自然環境や景観への悪影響などが問題となっています。
松江市内でも松江カントリー跡地やこの熊野大社周辺で事業見直しや反対の声が上がっており、新たに松江市が「再生可能エネルギー発電事業の適正な設置及び管理に関する条例(仮称)」を策定されることになりました。
しかし、松江市が昨年12月に発表した条例案の骨子のままでは、地域財産が守れない・・・といった不安があります。 このままでは反対の声が上がっているのにも関わらず、発電所建設が進行してしまう可能性が高いため、条例で禁止区域をしっかり定義して松江の地域財産を守っていただくよう求めました。
条例への意見
(1) 小規模の発電所にも規制をかけて下さい
(2) 保育・教育施設や医療・福祉施設の周辺、宍道湖・中海周辺と関係する河川の周辺を禁止区域にしてください
(3) 住⺠への周知・説明を徹底し、意見・要望も取り入れて納得を得て下さい
全国的にメガソーラーの景観や自然破壊が問題になってきている中、事業者は法の抜け穴をかいくぐって発電所建設を進めようとしているように感じます。
建設にあたり自治体との協議や環境アセスメント遵守が必要で時間のかかる大規模な発電所は最初から計画せず、小規模の発電所を同じ地域に複数建設し、地域全体でメガソーラーにするという方法です。
そうすることにより、業者側には「市や県の開発協議にひっかからない」といったメリットがあり、地域で反対の声が上がらない限り、ごく簡単にあっという間に発電所建設が可能なのです。
これは、日本の地方が抱える問題を利用していると感じます。
地方は慢性的な人手不足や高齢化に陥り、住民は耕作放棄地や休耕田の管理に四苦八苦しています。草刈りが体力的に限界になったり、耕作を委託していた人にも断られ、やむなく「耕作放棄地を利用して太陽光発電所を建設する」と決断したご近所に対して、近隣住民が反対の声を上げるというのは心情的にかなり難しいものです。
心の中では「やめてほしい」と思っていても、狭い地域の中で長年築いてきた人間関係があり、それに亀裂が入るのなら黙っていようと口をつぐんでしまう方が多いのです。
そのような地方の事情や田舎の人たちの気質につけこんで、全国のメガソーラー建設はこんなにもあっという間に拡がってしまったのだと思います。
ですが、耕作放棄地対策に太陽光発電所を進めてしまうと、そこらじゅうの農地が太陽光発電所になり里山の風景は台無しです。水や土、川や海までもが発電所数が増えるほど汚染されてしまいます。
ある日突然、あなたの家の隣に太陽光発電所が建設されることを知ったら?
あなたに反対と言える勇気がありますか?
それはとっても困難なことだと思います。
私たちは、そのようなことが起こらないよう、松江市にはしっかりとした条例を策定していただき、市民を守っていただきたいのです。地域の中で分断を生まないためにも、行政の力が必要です。
要望に対しては、2/25からはじまる松江市議会前に、松江市担当課よりご回答を頂く予定です。
(2/11 山陰中央新報 熊野大社近くで太陽光発電 東京の事業者計画、住民懸念 松江市は独自条例策定中)
(2/8 読売新聞島根版)
要望書提出にあたり、山陰中央新報と読売新聞の誌面に取り上げていただきました。
※2024年4月1日に再エネ特措法が改正され、再生可能エネルギー発電事業のFIT/FIPの認定要件として周辺地域の住民に対し説明会等が必要となりましたが、熊野太陽光はそれより以前にFIT認定を受けていたため、計画段階で説明会は行われませんでした。2024年8,9月に行われた説明会は、事後報告のような形式であり、地域住民に賛否を問われることはありませんでした。