岡元 公一
条例で、差別禁止に対する罰則をつけるのは無理があります。本来差別かどうか最終的に判断するのは司法の役目です。実際、差別発言を名誉毀損や侮辱罪で訴えれば、それが成立するかどうかは裁判所が判断します。この役目を行政が行うのは、三権分立を犯するのではないでしょうか?
また、地方自治法で罰則に含まれてないとはいえ、氏名の公表も相当な問題があります。これは見せしめ 行為であり、現在の情報化社会においては、ある意味罰金よりも遥かに重い刑です。氏名公表で恐ろしいのは周囲からの反応です。場合によっては ネットリンチや居住地への突撃なども考えられます。差別の基準が明確でないまま、これを行政が主導的に行うことは、非常に問題があると思います。合わせて 同姓同名の問題もあります。やまゆり園の事件では、犯人と同姓同名の方の Facebook に向けて誹謗中傷が殺到したという 二次被害がありました。多くの Facebook 利用者が 氏名を公表しており、また居住地を隠すようなこともしてないことを考えれば、相模原市が氏名を公表した結果、同姓同名の方がネットリンチにあったり居住地への突撃をされたりするリスクもあるということになります。相模原市 はこれに対して責任を取れるのでしょうか?
それに大阪市では氏名を公表したことで裁判を起こされています。行政が独自の判断で 罰則や 氏名の公表を行えば、それが本当に適法かどうか控訴されるリスクを常に負う事になります。
酷い差別行為に関しては名誉毀損などで訴えるための司法制度がすでに整えられています。相模原市 がリスクを負い、三権分立を犯してまで、それをやる必要性はないのではないでしょうか?