経過報告

実習と単位の関係
看護師養成課程では、臨地実習が必修として定められています。
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臨地実習の単位を修得できない場合 → 卒業要件を満たせず、国家試験の受験資格も得られない。
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つまり、実習に「行けないこと」が、そのまま 看護師を目指す道を閉ざしてしまう 重大な問題となっています。
難病学生に起こる現実
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体調の波や通院により、長期間の実習日程を消化できない
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医療的ケア(酸素、服薬管理など)が実習先で対応されず、参加を断られる
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「一部だけでも実習を認めてほしい」という要望が通らず、すべて不認定扱い となるケースも
結果、病気を理由に「単位を落とす」=夢を断念する という不条理が生まれています。
法制度が示す方向性
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障害者差別解消法(2016年施行)
教育機関は、障害や病気による不利益を避けるための「合理的配慮」を提供する義務がある。 -
文部科学省通知(令和4年3月31日付)
障害のある児童生徒・学生に対して「合理的配慮は法的義務」であり、必ず提供すべきと明記。 -
日本学生支援機構ハンドブック
難病・慢性疾患のある学生について「修学プログラム参加のための合理的配慮が必要」と明記。
👉 「病気を理由に単位が取れないままにする」ことは、法の趣旨と矛盾します。
合理的配慮のあり方(単位取得に関して)
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実習方法の柔軟化
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実習時間を分割して参加
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短時間・短期間での部分的参加
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代替実習(シミュレーション、映像教材、演習)で一部を補完
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単位認定の工夫
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学習目標の「プロセス」ではなく「成果」で評価
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一部の学習を別の方法で達成した場合でも単位認定対象にする
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休学・延長ではなく在学中に修得可能とする仕組み
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「病気だから留年・休学」ではなく、柔軟な履修計画で卒業を支援
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社会にとっての損失
実習単位を取得できず看護師を断念する学生は、「医療を誰より理解する患者経験者」 でもあります。
彼らが看護師となることは、患者の視点を持った人材を医療現場に送り出すことにつながるはずです。
「単位が取れない」という理由で夢を奪うことは、学生本人だけでなく、社会にとっても損失です。
まとめと提言
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実習に参加できない → 単位を落とす → 卒業・受験資格を失う
この悪循環は、合理的配慮を徹底することで解決できる問題です。
文部科学省・厚生労働省・大学・実習先が連携し、
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実習の代替方法を制度として認める
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単位認定の柔軟なガイドラインを整備する
ことが求められます。
難病や慢性疾患があっても「看護師になりたい」という願いを叶えられる仕組みづくりこそ、未来の医療を支える大切な一歩です。